防衛省の事務次官に関する 人事異動 が少し話題になっており、ご存知の方もおられると思います。ですので、本日は人事についてのお話をさせていただきます。
人事異動が話題になるというのは、そのメッセージ性に理由があります。この人が外された、この人が抜擢された、というのはその本人のみならず、組織内外の人々にある種のメッセージを与えます。
では、どういうメッセージを与えることができるのか。
まずは、人事異動の対象となる従業員個人について考えてみます。例えば、有能な人がおり、今後は必ず経営幹部に育つだろうと期待されているとします。一般的な方法だと、常に期待されるポストや重要なポストを渡り歩くことが多いかと思います。しかし逆に、一度「苦労させる、汗をかかせる」という意味で、辛いポストを与えるというのも、一つの方法だと考えます。その本人が人事のメッセージをくみ取れるかどうかで、行動は変わってきます。①期待されていると感じて、やる気を高めるのか、②このままいけば将来は安心だとして、努力を怠るのか、③期待されていないと感じてふてくされるのかは、そのメッセージが正しく伝わったかどうかにかかっています。人事に込められたメッセージは正しく伝われば、人を成長させることができます。逆に、正しく伝わらなければ、人の成長を止めてしまうこともあります。
次に、組織内外の人々について考えてみます。例えば、とあるプロジェクトのリーダーが、突然プロジェクトから外され、全く関係のない部署へと異動になり、新たな若手有望株がリーダーとして抜擢されたとします。すると、組織内外の人々が感じることは、①このプロジェクトは上手くいっておらず、その責任を取らされた、②新たなリーダーにはプロジェクトを成功へと導く大きな期待がかけられている、ということです。一度失敗してしまうと、ポストを外されるというある種の恐れが社内に広がり、失敗を恐れる組織に代わってしまうことも考えられます。しかし同時に、実績を上げれば、若手でもリーダーに抜擢される可能性があるとして、組織が活性化することも考えられます。更迭というネガティブなメッセージだけの場合と、併せて積極登用というポジティブなメッセージもある場合とでは、社内外に与えるイメージは大きく変わります。だからこそ、人事には、社内外の人々にどういう影響を与える可能性があるのかという点を意識してメッセージを込めることが大切です。
ただ単純に、向き・不向きなどの機能性のみで人員配置を決めたり、ただの結果として人事を発表したりするのではなく、会社としてどいう方針で進むのか、従業員にはどいう風に成長してもらいたいのか、どういう将来パスが用意されているのかというメッセージを込めることが必要だと考えます。人事のメッセージによって、組織は大きく変わる可能性を秘めています。営業や商品開発などと同じように、人事にも戦略が大切なのです。
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